コラム第29話 「高校生クイズ2014」感想と考察
優子:本日の議題は、これです!(ばばーん!と、前の黒板を叩く)今後のクイズ界のために、忌憚のない意見をぶつけましょう!
絵里奈:それよりも、このコーナー4か月も休止しといて、しれっと復帰かいな。
アクア:まあまあ淵崎さん。みんないろいろ忙しかったみたいですし、大目にみましょうよ。
メグミ:しかし、今日は参加者多いよなー。
ゆみこ:みんな言いたいことがいっぱいあるのよ……
遥:「五味一男プロデュース」による高校生クイズが終わり、2年が経過しました。
みゆき:2年ですか……短いようで長かったですね。
聖子:あ、高校生のみんなに、ひとつ報告しておかないと。なぜ、このコラムが2年間も黙っていたのかというと、「高校生クイズは、最低でも2年しないと大まかなルールが変更されない」という、暗黙の了解があるからなのよ。
絵里奈:ん。爆笑問題のときもそうやったしな。
ゆみこ:く、楠木さん、淵崎さん……そっちには優子のノートパソコンがあるだけですけど……
澪:(データ検索しながら……)ところが、今回はたった1年で総合プロデューサーを変えてきました。新プロデューサーは染井将吾氏、かつて日本テレビで放送されていた番組「ラジかるッ」のプロデューサーです。
麗子:だから去年から大幅に変わったのね。海外でクイズをするところは去年と同じでも、クイズの内容が。
優子:ところで、去年のプロデューサーは?
澪:ええと、データが……?このPCでは検索できませんね。
絵里奈:誰かが消しおったか……?
百合子:黒歴史にでもするつもりですかね。
【2014岡山・四国予選】
月葉:2014年は、香川・丸亀城芝生公園で5県合同で予選が行われました。
絵里奈:おーおー、スタッフやりおったなー。予選の場所を削減とは。
ゆみこ:おかげで遠くは高知県から、わざわざ来てくれた高校生もいるのにね。
メグミ:……で、5県の人数が集まったわりには、カメラはほとんど「寄り」のカットでした、と。
茜:一体何人ぐらい来てたんでしょうか?
優子:どこかで人数発表しませんかね。実際、昔はやってたじゃないですか。
聖子:プロ野球みたいに、観客を実数公表するとか……あまり見たくない気もするけど。
【1回戦 〇×クイズ】
遥:クイズ前の寸劇はともかく……今年は3問正解で勝ち抜け、というルールでした。
透子:去年は「YES NOクイズ」という名称でした。結局「〇×」に戻したのですね!
絵里奈:あれ……?ひょっとしてここのホームページ、スタッフに見られとる?
澪:詳しくは、「コラム第22話」をご参照ください。
【準決勝 謎解きペーパークイズ】
月葉:26問のペーパークイズの問題の答えを、別リストの10×10マスに書かれた文字から探し出して消していき、最後に残った文字を組み合わせてできる言葉を答える、というルールです。解答権は各チーム1回のみで、各県男女それぞれ3チームずつ(混成チームは女子チーム扱い)が勝ち抜けとなります。
アクア:謎解きと銘打ってはいますが、実際は正統派のペーパーテストですね。
茜:1問でも分からない問題があると、最終解答が出ないんじゃ……
百合子:あら、そうでもないわよ。リストに言葉が隠れていることは間違いないんだから、それらしい言葉を消去していけば、数問分からなくたって平気だわ。
みゆき:極論をいえば、問題がまったく解けなくても、リストにある言葉を消していけば答えが出るような気が……
【決勝 アトラクション&クイズ複合ステージ】
遥:前半は的当て、後半は早押しクイズです。
鈴猫:あれ?早押し復活のこと?
ゆみこ:なんだかあっけないわね……去年あんなに大言壮語して、早押しをなくしたのに。
澪:前半の的当てで勝利したチームには、早押しで1ポイントのアドバンテージが与えられます。早押しで3ポイント先取した1チームが、全国大会進出です。
遥:決勝での3ポイント抜けは、ずっと前からのデフォルトでしたから、その点に関しては「原点回帰」と言っていいと思います。
絵里奈:歴代の地方大会決勝ルールと比べても、だいぶまともなルールやったんやないかな。的当てが、後攻のチームが圧倒的に有利になることだけ気になったけど。
遥:全国大会は、今度こそ「ウルトラクイズ仕様」でした。
聖子:「今度こそ」、ね……
【1回戦 通過クイズ】
遥:ルールを再確認すると……
・全60チームで早押し。1問正解で通過席へ。
・通過クイズは、ランダムに選ばれた阻止側6チームと対戦。ここで正解すれば勝ち抜け。
・通過できるのは、15チーム。
遥:……というのが、テレビで公表された内容でした。
アクア:あの……間違えた時のペナルティはどうなのですか?1回休みとか、その時点で失格とか。
麗子:そのあたりの説明が、テレビでは一切なかったわね。
ゆみこ:通過クイズでは、誤答時のルールが特に重要よ。通過側が間違えたら通常席に戻されるのは当然としても、阻止側が間違えた場合、そのチームだけ休むのか6チーム全部休むのか、即通過側が勝ち抜けか、それによってだいぶ戦略が変わってくるわ。
メグミ:ルールを完全に視聴者側に伝えないなんて、普通は考えられないな……普通は。
澪:今大会は、それ以外にも視聴者へのルール説明を怠った場面がいくつかあります。いちいち話を止めてツッコむのも面倒なので、ここでまとめて処理しておきますね……
・〇×どろんこクイズ
澪:実際には9チームが通過しましたが、放送では、ルール前に勝ち抜け枠数が発表されませんでした。本当に、正解した全チームをサンフランシスコに連れていくつもりだったのでしょうか?
絵里奈:予算の都合ってもんがあるやろ……いくら日テレでも。
・準々決勝 マラソンクイズ
遥:ここでは、誤答ペナルティが「最後尾に下がる」と公表されました。が……
月葉:列が1チームだけになった際の誤答ペナルティについては、触れられませんでした。
百合子:もしノンペナルティなら、いくらでもチャージかけられるわ。
鈴猫:あわわ、神代さんならテレビ無視して本当にやりかねないある……
・準決勝 タイムショック
遥:もう皆さんお気づきだと思いますが……同点で2チーム以上がボーダーラインに並んだときのルールが不明でした。
麗子:個人的には、徳島市立に頑張ってほしかったけど……
茜:ところで……灘高は抜けられなかったのですか?このルールで?
澪:確かに、「一昨年までのルール」なら考えられなかったことですね……くくっ。
優子:それだけ高校生全体のレベルアップが進んだんですよ!きっと!
【決勝 早押しクイズ】
遥:10ポイント先取の早押し、誤答はマイナス1ポイント。まさに原点回帰のルールです。
アクア:これまでのラウンドと比べて、問題の難易度が一気に上がったような気がするのですが……
メグミ:確かになー。解答者が変わったのかと思うぐらい……って、言い過ぎか。
みゆき:決勝第1ステージまでの「冒険活劇」から、急に「知力劇場」に切り替えたのは、どういった演出の意図があったのでしょう……?
澪:まるで、9時台の感動ドラマから深夜の芸人枠に切り替わる24時間テレビのようでしたね……くくっ。
まや:それにしても、決勝の問題難しすぎませんか?
ゆみこ:いや、あんなもんじゃない?昔もあれくらいの感じだったよ。
聖子:確かに「見かけの難易度」は上がったけど、決勝早押しで出された問題って、ベタ問題のオンパレードよね。クイズ研究会なら、知ってても全然おかしくない「問題集に載ってるレベル」だったわ。
みゆき:「ピグマリオン効果」も「ファンデルワールス力」も、クイズをやっていればどこかでお目にかかる言葉です。
絵里奈:野球部員が練習を重ねて、内野ゴロでダブルプレー取れるのとか、バスケ部員がノールックパスできるのとかと同じ、と思っていただければええんとちゃうかな。
優子:格闘ゲームで連続技を華麗に決めたり、太鼓の達人でフルコンボするのとも同じ感覚?
絵里奈:ん。そんなもんやな。結局どんな分野でも、それに打ち込んで一生懸命練習しとる奴はすごい、っちゅうこっちゃ。
聖子:と、ここまではよかったんだけど……編集が激闘を台無しにしたわね。
澪:手元の時計で……桝アナが「問題」と言ってから、優勝チームが決まるまでの放送時間は、29分54秒でした。
透子:いくらなんでも、長すぎです〜!
麗子:10分ぐらい、1回戦に回せばよかったのに……
メグミ:最後なんて、ネタバレしてたよな。「この戦いに終止符が打たれる時が……」って。
聖子:どっかの局がボクシングの試合中に結果を速報で表示して、バッシングくらったばかりなのにね……
【視聴率】
遥:あ、一応付け加えておきます。今回の視聴率は12.3%でした。
百合子:あら、たとえ「一応」でも数字は大事よ。特に2年前の「知の高校生クイズ」よりも持ち直したことは、称賛に値するわ。
まや:そう……ですか?
百合子:分かってるでしょう?テレビは視聴率を取った者が全て正しい。数字が出なければスポンサーもつかないし、スポンサーがつかなければ、高校生を海外に連れて行く資金も捻出できない……それが現実よ。
月葉:そ、それは、そうですが……
絵里奈:(神代、相変わらず不器用やな……ま、人が嫌がることを率先してやってくれるんは、あいつのええとこなんやけど。)
【まとめ】
ゆみこ:結局、この7年間で分かったことは……
絵里奈:ルールなんて、大人の都合でナンボでも変えられる、ってことかな。
聖子:ええ。だからこそ、私達大人はしっかりしなくちゃいけないわ。これから高校生クイズに参加しようっていう子供たちのためにも、ね。