麗子:初めてよね、このコラムで前後編が組まれるのて。
優子:大作の予感ねっ!……って、私達の出番、今回これだけ?
【例会2週間前・某会議室】
聖子:9月8日の例会では、企画の1つとしてこういうことをやろうと思ってるの。(と言ってから、黒板に書き出す。)
『二重音声クイズ』
月葉:二重音声……ですか?
澪:初めて聞く形式ですね。
絵里奈:ん。2人が知らへんのも無理ないな。これは昔々、あるところにトメ爺さんと淳兄さんが……
聖子:こほん。
絵里奈:あ、あはは。こんなんいらんかなー、と思って。
聖子:実際に見てもらったほうが早いわね。こんな感じでやるのよ。(リモコンをピッ、と押す)
・・・・・・視聴中・・・・・・
月葉:す、凄い……
澪:すぐ隣に別の出題者がいて、よく噛みませんね。それに、解答者の集中力もなかなかのものです。
聖子:2人には、これの出題者役をお願いしようと思ってるの。
絵里奈:ま、ちょっと難易度が高い出題方法やし、無理ならいつも通り問題作成だけでもええけどな。出題はウチと楠木はんでやるし。
月葉:……いえ、やってみたいです。やらせてください!
澪:月葉がそう言うなら……私に異存はありません。
絵里奈:よっしゃ!決まりやな。さて、ウチはこれから取材があるから抜けるけど、3人とも頑張ってやー。
(バタン。扉を閉める音。)
聖子:じゃあ、まずは問題作成から始めましょう。
月葉:はい!さっき見たVTRだと、問題のパターンは……
1.問題文に同じような一節が含まれている
2.2つの答えに何らかの関連性がある
3.全く関連性が無い、別々の問題
この3つに分けられると思います。
聖子:そうね。今回は二重音声という形式を有効利用するため、「3番」は外しましょう。あともう1つ、2人の出題者がほぼ同じタイミングで問題を読み終わってたというのもポイントよ。
澪:なるほど……問題文の「音の数」をなるべく合わせる、ということですね。
聖子:ええ。そこに注意して、問題文を作ってきてくれるかしら。本番で使う問題は30問×2、同点になったときのサドンデス用問題が10問×2ぐらい……で、どう?
月葉:はい!
澪:分かりました。
【その日の夜。電話で……】
聖子:渕さん、わざと「無理なら」って言ったでしょ。私、出題する気なんて無かったわよ。
絵里奈:んー。何のことかな?ま、あの2人がやる気になったんやから、それでええやろ。
【2日後。某会議室。】
(聖子が、2人の作った計50問×2に目を通している。)
聖子:こんなに早く問題を作ってくるなんて……ネットがあるとはいえ、今の子たちは凄いわね。
月葉:どう……ですか?
聖子:そうね……久乃さんの作ってきた問題は、全部使えると思うわ。ただ、明らかに片方が早く読み終わりそうな問題があるから、それは印を入れておくわね。もう一度文章の構成を考えてきて。
月葉:はい!
聖子:神田さんのほうは……面白い問題があるわね。この前の話に出てきた、1にも2にも3にも該当しないパターンだわ。
澪:ええ。このルールは素敵です、特に問題文を捻らなくても、ミスリードが誘えるのですから……くくっ。
月葉:み、澪さん……白衣だけど今日も黒い……
聖子:いいわ、これも全部採用しましょう。予備問題の枠を広げればいいだけのことだし。
【例会1週間前・九鬼家のサロン】
澪:では、問題の読み合わせを行います。皆様、よろしくお願いします。
麗奈:まあ、たまにはこういうのもいいものですわね。
佳世子:皆様、紅茶が入りましたよ。問題読みの前には、喉を湿らせておきましょう。
美和:よし!全員で発声練習だ!低い声で15分ほど……
(全員立って、低い声で発声練習。)
麗奈:な、なぜわたくしまで……
(そんなこんなで、読み合わせ開始。)
月葉:……問題。
Q澪:原作は松本清張の「熱い空気」〜……
Q月:阿須田(あすだ)家に派遣され、喜怒哀楽を全く〜……
月葉:よ、よかった……どうにか引きずられずに読むことができました。(にこっ)
澪:あ、当たり前じゃない……皆様、今の問題はどうでしたか?忌憚の無いご意見をお聞かせください。
美和:完全には聞けなかったけど、部分的に繋げればちゃんと答えは出てくるな。
佳世子:ええ。そう考えると、問題の難易度は適切なんじゃないかしら♪
麗奈:最後、久乃さんのほうだけ問題を読む時間帯があったのが多少気になりましたが……
美和:ボクにはそれがかえって良かったかな。少しずれてたほうが、手掛かりがあって答えを探すきっかけになるし。
澪:なるほど……2人同時に読み終わるのが美しいと思ったのですが、解答者心理だと「答えやすさ」も大事になってくるのですね……参考にしましょう。
月葉:では、次にいきますね……問題。
Q澪:今年の8月10日から8月〜……
Q月:今年の7月19日から〜……
佳世子:韻を踏むような問題は、きっちり揃ってたほうがいいような気がしますね。
麗奈:「とおか」と「じゅうくにち」のところで差がつきますから、澪さんは心持ちゆっくりと読んだほうがよろしいのではなくて?
澪:分かりました。ここの部分はゆっくり、ですね。(メモを取る)
澪:……これで全部です。ありがとうございました。
美和:頭を使う問題だったな。配線を繋ぐ感じに似てるかも。
佳世子:とてもお茶がおいしくいただけました♪問題の質は、私達が保証します。
麗奈:頑張ってくださいね。本番での成功を期待してますわ。
月葉・澪:はい!
(後編へ続く)